ランニングで走るともれて、歩くと止まる。手術すべき？　術後のスポーツ再開の時期は？

縄飛び、テニス、ランニングなど、跳躍や走行を伴うスポーツは腹圧性尿失禁が起こる典型的状況です。

女性の尿もれでは、出口の弱い腹圧性尿失禁と、膀胱が勝手に収縮する切迫性尿失禁を区別しなければなりません。｢もれ出すと止まらなくなる｣点で少し切迫性尿失禁を疑いましたが、｢走るのをやめて歩くと、もれが止まる｣という記述から、やはり腹圧負荷に一致して起こる腹圧性尿失禁と考えてよさそうです。

｢手術をしたほうがよいか｣と聞かれると、私はいつも｢それは医者が決めることじゃなくて、あなたがどれだけ困っているか、どれだけ治したいと思うかよ｣と答えています。普段の生活でもれなくても、マラソンやテニスが生きがい、週に何日もやるし、もれのためにスポーツが楽しめないと手術を受けた方が結構おられます。

腹圧性尿失禁のTVT手術、TOT手術は、昔の方法に比べて負担が軽く、長期成績も安定しています。欧米では日帰りでも行ないますが、日本だと3日入院くらいのところが多いでしょうか。

退院したら、普通の家事、デスクワークはすぐでもできますが、1カ月はおとなしめに、と思っています。たとえばランニングなら、2週目から様子を見ながら始めて、少しずつ距離を増やすなどしていくといいでしょう。

監修：名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院 女性泌尿器科付部長 加藤久美子先生