産後3カ月、陰部に違和感があり、尿もれなのか下着が汚れた感じになります。

このご相談のポイントは、① 水っぽさの自覚は尿もれによるものか、②「産後、誰でもなる腟の腫れのようなもの」と説明された腟の変形は異常や病気ではないのか、②は①と関係あるのか、といったところかと思います。おかかりになった産婦人科での「産後、誰でもなる腟の腫れのようなもの」という説明は、私にもよくわかりません。

① については、まずおりてくるのが尿か、その他のおりものかを鑑別したいものです。尿である場合、うにさんの状況は、もれているのでなくトイレで排出した尿の一部が腟内に入り込み腟壁の隙間に残っているのかもしれません。いまもれたという自覚なしに、下着やパッドに少しずつ尿がおりて来ます。おりて来る液体は尿のにおいがしますから、本人は尿もれを疑って神経質になります。

トイレで出した尿が腟内に入り込んで残る状態を腟内遺尿と呼んでいます。腟内遺尿があると、臭気のみならず尿に含まれる活性成分のために粘膜や皮膚が傷んでしまいます。

和式便器で排尿すると腟内遺尿にはなりにくいのですが、我が国のほとんどのトイレは今や様式です。そこで洋式便器で腟内排尿を避けるための工夫は、大腿を大きく開き前傾姿勢をとって（胴体を前へ倒して）用を足してみてください。それでも尿道の出口から直接尿がおりない場合、手の指で陰唇を左右に開く方法も試してみましょう。

一度腟内に入った尿でも、トイレットペーパーを陰唇の間（腟の出口）にあてて丁寧に液体を吸い取るようにすれば、かなり除去することができます。液体が染みなくなるまで、トレペを新しくして繰り返しましょう。

排尿時に腟内に尿が入り込む人の場合、温水洗浄便座のビデ機能で洗うと、腟内に洗浄水が残って逆効果になります。これはやめましょう。

腟内遺尿対策をしても湿り気がなくならない場合は真の尿もれです。どのくらいもれているのか、1g単位で計れるキッチンスケール（秤）でパッドの重さを計ってみるとよいでしょう。

② については、出産したのでこの程度の腟のたるみは当たり前、と言われていても、専門的に超音波画像などで観察すると膀胱や尿道の状態に異変があり、それが尿もれの原因と推定されることはよくあります。もう少し踏み込んだ評価が必要です。

うにさんの場合、そもそも尿もれがあるのかどうか、まだはっきりしていません。もしこの湿り気が腟内遺尿でなく尿もれである場合、超音波画像などによる形態的な膀胱と尿道のチェックで、かなりのことがわかります。

いま現に腟周りや骨盤底に違和感がある場合、その病態は明らかではありません。もう少し全容がつかめるまでは、骨盤底筋トレーニングは控えておく方が無難です。骨盤底筋トレーニングは、効果が出ることがある一方、違和感を強調してしまうことがあるためです。

監修：社会福祉法人三井記念病院 産婦人科 中田真木先生