1人目出産後からもれがあり、子宮下垂気味。この状態で出産は可能でしょうか?
妊娠4カ月、2人目を出産予定です。1人目を出産後に、たまに尿もれが起き、疲れた時などに子宮が下垂気味でした。
とくに受診することもなく、今回の妊娠に至りましたが、現在も子宮が下垂しているようで、腟部分に違和感があります。
尿もれ自体はおさまっていますが、子宮がこのような状態で出産は可能なのでしょうか?(KMM・35歳)
ほとんどの場合、下からの出産が可能です。十分に養生し、体重が増えすぎないよう管理を。
子宮が少々下がり気味でも、骨盤底の筋肉や膜に大きな損傷がなければ、妊娠週数が進んで子宮が大きくなると、子宮は自然におなかの中に持ち上がっていきます。子宮が下から大きく脱出している状態でなければ、たいていは満期の正常出産になります。
一方、これまでの出産で骨盤底の筋肉や膜が弱くなっていると、妊娠中に子宮口が緩んでばい菌が入ったり(絨毛膜羊膜炎)、流産や早産になったりするリスクがあります。
子宮が下がりやすくなっているだけか、骨盤底の筋肉や膜が傷んで機能不全になっているか、の差が重要なわけですが、この鑑別はやや微妙です。そこで、子宮が下がっていると言われた場合は念のために、労作を減らし、性生活を避け、妊婦健診で頻回に子宮口の状態をチェックしてもらってください。手抜きせずに健診に通いましょう。
妊娠と出産が骨盤底に与える負荷は、妊娠中長期間作用する身体的変化と分娩で短時間に加わる強い力との2つがあります。また、これらの負荷の残す影響は、子宮のサポートに直接及ぶ影響、骨盤底の筋肉や膜への影響、そして神経や膀胱・尿道への影響に区分されます。
妊娠中に自分でできる骨盤底防護対策は、労作軽減と体重の管理です。立っているのがつらいときは腰掛けましょう。おなかが張るときには、行動予定を見直しましょう。適正な体重増加の範囲は妊娠前の体型によって違います。通院先で指導を受けてください。体重が増えすぎると妊娠中から尿もれは悪化します。それだけでなく、過度の肥満は分娩がうまくいかなくなる(難産、分娩停止など)原因でもあり、うまくいかない分娩は分娩中の骨盤底損傷の原因となります。
KMMさんの場合、通常の出産が可能な印象ですが、中には、全身的な条件や子どもの状態などからみて、骨盤底を守るために帝王切開が望ましいケースもあります。分娩にあたっての骨盤底防護対策は、上に説明したとおり妊娠中の十分な養生ということが第一です。これは自分でできます。
その他、分娩のプランに関することは諸条件により個別に判断するものなので、通院先の産婦人科で相談にのってもらってください。昨今は日本でも無痛分娩が増えてきていますが、年齢、体型体格、胎児の大きさなどからみて娩出が難しそうな分娩に、無痛分娩の力を借りて立ち向かおうとするのは考え物です。麻酔して苦痛を減らしたとしても、分娩による骨盤底障害のリスクが少なくなるわけではないのですから。
監修:社会福祉法人三井記念病院 産婦人科 中田真木先生
この記事をご覧の方へのオススメはこちら
他のおすすめ「チャームナップ」
あなたの好みに合わせて選んでください。
今すぐできる尿もれ対策には
このカテゴリーの記事
- 妊娠、荷物を持つともれる
- 妊娠中の尿もれ対処法
- 産後の尿もれ・子宮下垂
- 出産後、排尿に不具合
- 悪阻やくしゃみでもれる
- 妊娠・産後、せき・くしゃみでもれる
- 産後の尿もれ
- 産後の尿もれ受診の目安
- 産後の尿もれ、便もれ
- 産後、朝起きるともれる
- 産後、尿が出にくい
- 産後、尿が止められない
- 尿もれ予防の生活習慣
- 出産直後からの尿もれ
- 産後、肛門に力が入らない
- 産後の膀胱下垂
- 出産後のおねしょの悩み
- 産後、生理前の尿もれ・おねしょ
- 妊娠週数と尿トラブル
- 妊娠中の排尿の心得
- 分娩時の骨盤底ダメージ
- 分娩による骨盤や骨盤底の神経への影響
- 骨盤底にやさしい分娩
- 産後のおしっこトラブル
- 出産後の肛門のゆるみ
- 出産後のセルフケア
- 産後の骨盤底トレーニング
- せきやくしゃみでもれる
- 走るともれる
- くしゃみ・ランニングともれ
- 産後、スポーツでもれる
- 縄跳びで尿もれ
- トイレに間に合わない
- 残尿と出産、卵巣のう腫
- 出産後、子宮脱に
- 産後のお湯もれ、対処法