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産後のもれでズボンが汚れます。まだ子どもが欲しいし、職場復帰も心配です。

1カ月前に第1子を出産しました。子どもは3080gで、分娩は7時間と初産にしては早かったです。妊娠で12kg太りました。出産後はいきみが強かったのか、顔中内出血していました。


出産後、翌日、尿がだーっともれて止められず、下着もズボンも濡れてしまいました。助産師さんに相談したら「産後骨盤を緩めるホルモンが1~2カ月出るので、骨盤をしめて骨盤底筋群の運動をすれば治る」と言われました。


骨盤はさらしでしっかりしめていますが、しかし1カ月経った今も腹圧で尿はもれるし、すごく困ることは膀胱に尿がたくさん溜まるとだーっと尿がもれて下着やズボンが汚れることです。


これがあると怖くて社会生活できません。このためか、産後膀胱炎・腎盂炎になってしまいました。


産後のため、1カ月の赤ちゃんの授乳等で睡眠不足もあり、骨盤底筋群の運動は気づいたときにする程度で、2日に1回程度かもしれません。


産後あと1~2カ月で職場復帰する予定だったのですが、このままだと復帰できず、悩んでいます。


出産時、いきみすぎたからこうなってしまったのでしょうか? まだ子どもが欲しいのに出産が怖いです。もう少し経てば治るのでしょうか? 仕事に復帰したいのでアドバイスお願いします。(かい・29歳)

出産後の尿もれ対策は休養が基本。排尿習慣の見直しと骨盤底筋トレーニングを無理なく取り入れましょう。

妊娠中の体重増加と分娩の流れはおおむね普通です。いま何回か尿がもれたとしても、尿の排出に問題がないのであれば、おそらく出産後3カ月程度で尿もれは解消します。


出産後に役立つ対策は、まず、産休中には授乳の合間などにまめに横になり、胴回りを衣服やランジェリーで締めつけず、重労働はなるべく遠ざけましょう。これにより、骨盤底のサポートする力の回復が早まります。


また、骨盤底に負担をかけない排尿を取り戻すためのリハビリテーションも役立ちます。「十分に尿意を感じてからトイレへ行く」と「お腹と股のあたりの力を抜いて一続きに穏やかに出す」を意識して励行しましょう。妊娠中の排尿は腹圧を使う傾向がありますが、出産後は、排尿反射を軸とする本来の排尿様式に戻すことです。


骨盤底筋トレーニングには出産から6カ月くらいまでの期間に尿もれを減らす効果がありますが、筋力鍛練を開始するのは、筋肉の炎症が治まってからがよいので、お股の痛みがとれてから開始してください。ただし、鉗子分娩や吸引分娩の後など、骨盤底筋を正しく収縮できないことがあります。動作に不安がある場合は、自己流で続けるよりも産婦人科などで動作をチェックしてもらいましょう。


最近は無痛分娩の広がりに伴い、尿の排出に問題がある人が増えています。尿意の鈍りや慢性的な残尿がある場合、上に説明した介入(骨盤底の養生、排尿リハビリテーション、骨盤底筋トレーニング)だけでは問題が解決しません。泌尿器科に相談してください。


出産後の尿もれは、一般に排卵と生理が再開するとぐんぐんよくなります。出産から日が浅く授乳している段階では、回復が遅く治療計画を立てにくいのが現実です。授乳しているのであれば、産後3~4カ月までは経過観察のみとし、その後は早めに卒乳することも考えましょう。


監修:社会福祉法人三井記念病院 産婦人科 中田真木先生

産後1カ月の尿もれは「過活動膀胱」に区分される

産後1カ月頃の尿もれは、単一の原因ではなく、分娩による骨盤底へのダメージと、産後の膀胱や尿道の調節機能の乱れが重なって起きています。腹圧性尿失禁の要素もありますが、尿意切迫感とともにもれることも少なくありません。未分類の尿もれは、「過活動膀胱」に分類されます。

過活動膀胱と腹圧性尿失禁の違い

産後の尿もれには、主に次の2つのタイプがあります。1つ目は、「過活動膀胱」です。経腟分娩の後1カ月頃までは珍しくありませんが、骨盤底の状態が元に戻るにつれて収まります。尿意を感じたときに、排尿の態勢に入るまで我慢できずにもれてしまうタイプです。


2つ目は「腹圧性尿失禁」です。尿意とは関係なく、咳やくしゃみ、重たいものを持ち上げる、走るなど、腹部にも力がかかる動作をしたときに尿がもれるタイプです。

産後に「過活動膀胱」が生じやすくなる背景

産後の尿もれが「過活動膀胱」に区分されるのは、経腟分娩が影響しています。胎児が骨盤底を通過する際、骨盤底の筋や膜が強く引き伸ばされ、弛んだり部分的に切れたりすることがあります。また、子宮口が開いてから娩出までに時間がかかると、膀胱や尿道をコントロールする神経にもダメージが加わり、しぱらく機能が低下します。この回復には最長で3カ月程度かかる場合もあります。


これらの要因が重なり、尿を膀胱内に溜める、あるいは排出が不自由になると、排尿のしづらさや尿もれといった症状が現れます。

産後の「過活動膀胱」の長期的な影響

出産後に過活動膀胱になった女性の多くは、膀胱が尿を排出する機能も低下しています。排尿の際、膀胱の収縮力が不足すると、無意識のうちにいきみが加わります。


出産後しばらくは骨盤底のゆるみのために、軽いいきみで排尿ができます。しかし、骨盤底の回復が進むにつれて、排尿時に必要となるいきみも次第に強くなっていきます。


このように、排尿の都度いきんで膀胱や尿道の押し下げを繰り返していると、膀胱瘤などの骨盤臓器脱や腹圧性尿失禁を招きやすくなります。


出産した女性の腹圧性尿失禁の発症には、分娩による一時的な膀胱機能低下を通じて排尿時にいきむ習慣の定着が関係しています。発症を予防するためには、骨盤底の回復を促す骨盤底筋トレーニングだけでなく、骨盤底の回復に合わせて、いきむ力を使わない穏やかな排尿をとり戻すことが有効です。

骨盤底回復のポイントは「負荷軽減」と「排尿調節の回復」

出産後の尿漏れ対策 1.腰回りを締め付けるような衣服やコルセットの着用を避け、骨盤への物理的な負担を軽減する 2.尿意を感じる前から無理に排尿しようとしたり、腹圧で出そうとしすぎない 産後の身体回復は個人差が大きく、産後8週まで母親の就労は禁止されていますが、実際に8週で職場復帰できる人は多くありません。焦らず粘り強く取り組みましょう。 出産後の尿漏れ対策 1.腰回りを締め付けるような衣服やコルセットの着用を避け、骨盤への物理的な負担を軽減する 2.尿意を感じる前から無理に排尿しようとしたり、腹圧で出そうとしすぎない 産後の身体回復は個人差が大きく、産後8週まで母親の就労は禁止されていますが、実際に8週で職場復帰できる人は多くありません。焦らず粘り強く取り組みましょう。

産後の骨盤底を回復させるためには、「骨盤底への負荷を減らすこと」と「排尿習慣を整えること」の2つが重要な柱となります。

骨盤底の負荷を軽減するための日常習慣

骨盤底の回復を促すためには、日常生活の中で骨盤底に余計な負担をかけないことが基本です。まず注意したいのが、衣服による圧迫です。胴回りを締め付ける衣類やコルセット類は、腹圧を高めてしまうため、使用は控えめにしましょう。また、立っているだけで骨盤内の臓器には重力がかかり続けるため、日中も無理をせず、適宜横になって骨盤底を休ませる時間を確保するようにしましょう。


他にも、重いものを持ち上げる際などの「いきみ」にも気をつけましょう。息を止めて踏ん張るのではなく、骨盤底筋を意識的に締めてから動くと、急激な負荷を和らげられます。あわせて、便秘によるいきみも骨盤底への負担となるため、食物繊維や水分の摂取を意識して、排便環境を整えることも大切です。

自然な排尿リズムを取り戻す方法

産後の膀胱や尿道の機能をスムーズに回復させるコツは、「尿意を感じてからトイレへ行く」という自然なリズムでの排尿習慣を意識的に取り戻すことにあります。


尿もれを恐れるあまり、尿意がないのにとりあえず排尿を済ませようとすると、機会排尿が習慣化してしまいます。その結果、無理に排尿しようとしていきむクセを強め、骨盤底への負担や尿もれの悪化を招く可能性があります。


そのため、尿意の高まりを感じるまでしっかりと待ちましょう。そして、いざ排尿する際は全身の力を抜くことが大切です。膀胱と尿道が自然に連動して尿を排出するのを穏やかに待つ姿勢が、機能回復の助けとなります。


なお、産後3〜4カ月経っても尿もれが軽快しない場合や、以前より症状がひどくなった場合は、分娩した産婦人科や、泌尿器科で、現在の状態をチェックしてもらいましょう。

骨盤底筋トレーニングは「1日1セットでも継続が最優先」

骨盤底筋トレーニングで重要なのは、正しいフォームを身につけ、育児の合間に無理なく習慣化することです。まずは会陰の傷の痛みの引きを確認してから、出産後6カ月ごろまでの継続を目標にスタートしましょう。


トレーニングの基本となる「ケーゲル体操」は、腟や尿道、肛門周辺の筋肉を意識的に締め、5〜8秒間ほど保持してからゆっくりと緩めるのがポイントです。1セット10回を1日のうちに2〜3回行うのが理想的です。たとえ1日1セットであっても、毎日コツコツと続けましょう。


ただし、やり方を間違えると期待した効果が得られないだけでなく、骨盤底に逆効果な負荷をかける恐れがあります。特に注意したいのが、お腹や太もも、お尻の筋肉に力を入れたり、排便時のようにいきむ動作です。トレーニングの際は、他の筋肉を使わないよう意識してください。もし動作に不安を感じたり、うまく筋肉が動かせている実感が持てない場合は、産婦人科で専門的なアドバイスを受けましょう。

監修

社会福祉法人三井記念病院産婦人科

中田真木先生

1981年東京大学医学部卒。産婦人科専門医を目指して研修開始。

1991年から2年間、欧州に現存する最古の病院 Hôtel-Dieu de Parisで婦人科外科部門のレジデンシー、婦人科と骨盤底の手術を学ぶ。帰国後は都内の病院で働き、専門の診療の他、尿失禁手術と骨盤底再建手術の開発と普及に携わる。2002年より、三井記念病院産婦人科に勤務。現在は同施設の嘱託として仕事を継続。