トイレに行く前にもらすことも。出産後、ひどくなった気がします。

典型的な切迫性尿失禁と頻尿、したいと思うと膀胱が意志に関係なく勝手に収縮してしまう「過活動膀胱」の症状です。

おしっこをこらえるブレーキの故障ともいえます。高齢の方がトイレに行く途中の廊下で、また下着をおろす間にもらすのをよく見ますが、若い年代でも決して少なくありません。玄関先で鍵を開ける時など、あともう少しというところが危なくて、「ドアノブ尿失禁」と名付けたりしています。

かなり困っておられるようなので、膀胱の広がりをよくするβ3作動薬か、膀胱の収縮をおさえる抗コリン薬をおすすめします。

排尿を我慢して、膀胱を段々大きくする「膀胱トレーニング」もセルフケアとしてよいのですが、もれの心配があるとなかなかできません。薬でもれをよくしてからトレーニングを併用し、3カ月ほど経ってから症状が落ち着いたら、薬の中止を試みてはどうでしょう。症状の悪くなる秋冬だけ薬を使う方もいます。

監修：名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院 女性泌尿器科付部長 加藤久美子先生