女性ホルモンと尿もれの関係
女性が閉経を迎える(=月経が停止する)標準的な年齢は50歳。その前後5年ほどの期間、女性の体のホルモンバランスは大きく変化します。卵巣からのエストロゲン(卵胞ホルモン)分泌は激減し、体調不良や気力の落ち込み、睡眠障害などに悩まされる人も少なくありません。
エストロゲンが不足すると、腟や膀胱・尿道の血流が減少し、新陳代謝も低下します。 その結果、閉経後数年すると腟や外陰部の粘膜は薄くなり、表面の雑菌が増加します。これにより慢性的な腟炎の状態が続くことが多く、尿道炎や膀胱炎などにもかかりやすくなります。
また、膀胱や尿道を所定の位置に保持し骨盤底に結びつけている構造、つまり内骨盤筋膜や会陰膜などは、エストロゲンの供給が断たれると薄く弱くなります。この問題も、閉経から年月の単位で進行します。
閉経と前後して尿もれが現れる場合、尿道や腟の粘膜の萎縮、腟や外陰部の雑菌の増加、骨盤底支持の弱体化、などの要因が関与していることが多いようです。
ここまで、閉経と尿もれの関係について説明しました。しかし、一生を通してみると、膀胱尿道の不具合の最大の原因は、閉経ではなく、全身にわたりゆっくりと進行していく「加齢」です。
その証拠に、中高年女性の尿もれをエストロゲンの補充(エストロゲンを含む製剤の投与)で治療しようとする試みがこれまで繰り返し行われてきましたが、残念ながら治療を必要とするほどの尿もれは、エストロゲンを投与してもあまりよくなりません。
では、エストロゲンを補うことは、女性の膀胱や尿道のために何の役にもたたないのでしょうか? いいえ、そんなことはありません。閉経期から予防的にエストロゲン補充を受け、粘膜の代謝や膀胱尿道、腟などの血行を維持することは、長期的に膀胱尿道の衰えを防ぐのに役立ちます。
問題は、エストロゲンを補うことだけでは加齢にともなう膀胱尿道、腟などの変化を押さえきれない、他に、まだ十分に説明されていない要素がある、ということなのです。
監修:社会福祉法人三井記念病院 産婦人科 中田真木先生
- ※尿もれを引き起こす原因の特定は本人には難しい場合がありますので、担当医にご相談ください。
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