下着についたにおいがとれません。尿もれでないなら、なんでしょう？

40歳頃になると、微妙な体型の変化があって左右の大陰唇が垂れて来ます。

全員ではありませんが、閉経後の女性のうち少なくとも半数くらいが、洋式トイレを使うとき左右の大陰唇が接したままの状態で尿を排出しています。この状態では、排出した尿の一部が腟内に入り込みます。

尿が腟内に入り込むのとエストロゲン（腟や子宮の粘膜の代謝を活発にする性ホルモン）が不足するのと2つの原因が重なって、腟の中は尿の臭いがしてきます。

また、尿はそれなりに刺激物質ですから、腟粘膜には慢性的な炎症が起こります。腟炎と診断されたのは、腟粘膜に慢性的な炎症があるのでしょう。

腟内排尿によって腟内が荒れ尿臭を発しているのはけっして褒められたことではありません。

対策ですが、まず、排尿時に小陰唇を指で開くようにして、外尿道口から出た尿が直接キュベット内へ飛び込むようにすることです（Labial separation）。うまくできているかどうかは、尿流が水に落ちる音でわかります。

尿検査のときにも、左右の陰唇を指先で開いて尿をとるようにすれば、腟のあたりから余計なもの（アカや白血球など）が混じり込むのを避けることができます。いずれにしても、触る前には手をきれいにしましょう。

Labial separationだけではなかなか臭いがとれない場合、エストロゲン投与治療が有用です。腟内の慢性炎症を治し臭気を消すのに役立ちます。腟錠でもパッチ剤でもジェルでもよく、1～2カ月続ければ、腟内はだいたいきれいになります。

外陰部からの尿臭は消臭効果のあるパッドを使えばよくなりますが、腟内排尿のために腟内が臭くなっている場合は、腟内を手当しないとにおいの問題は解決しません。 Labial separation、ぜひトライしてみてください。

社会福祉法人三井記念病院 産婦人科 中田真木先生