卵巣ガンの摘出手術をしました。気づかぬうちにもれている、その原因は?
昨年、初期の悪性の卵巣ガンで摘出施術を受けました。両卵巣、子宮、大網、リンパ節の摘出を受け、その後順調に回復しましたが、ここ数日はトイレが近くなり、気がつかないうちに下着に尿がもれている形跡があります。
最初はおりものかな?とも思いましたが、アンモニア臭がするので尿に間違いないと思います。
以前、術後の間もなく担当医に「オペの際に卵巣が膀胱の神経の近くだったので神経に傷がついたおそれもあるから、尿意を感じなくなったり排尿がうまくいかなかったり、尿もれをするおそれがある」と言われました。
しかし、それから3~4日したら尿意も排尿も普通にできるようになったので、その可能性はないと思うのですが・・・。ホルモンのバランスの崩れもあると、こちらのサイトで知りましたが、知らないうちに下着にもれた、となると困るので相談しました。
その他に原因となるものがありましたら教えてください。(みゆき・50歳)
排尿方法にも気をつけてみましょう。尿路感染症、リンパ嚢胞なども考えられます。
「おりものかとも思うが尿の臭いがする・・・」という場合は、いったん排出された尿の一部が腟内へ入り込み、それが後から垂れてきている可能性があります。
洋式トイレで太股を開かないで両側の陰唇が合わさったまま排尿していませんか? 脚を開き上体を前に傾け、外尿道口を外気にさらすキモチで排尿してみてください。それで改善しない場合、やはり尿もれの可能性があります。
手術操作のせいで、少々尿意が鈍るようになっているおそれはあります。やや鈍るぐらいの変化ですと、手術の後の排尿にはさほど困らないものです。
その他、思い浮かぶ要件を4つ、ご紹介します。(1)尿路感染症、(2)リンパ嚢胞、(3)抗癌剤治療(もし受けていれば)、(4)エストロゲン欠乏などです。
(1)について、卵巣ガンや子宮ガンの手術を受けると、排尿能力が落ちて膀胱の中に外陰部や肛門周りのばい菌が入り込むことがあります。
おりものを気にして1日中パンティライナーを替えずにあてていると、局所の雑菌は増加し、尿道からばい菌が侵入しやすくなります。その結果としての尿路感染で尿もれしている人は、けっこうあります。
(2)リンパ節をとると、リンパの流れがうっ滞して、骨盤内に「リンパ嚢胞」と呼ばれる直径数cmから15cmくらいまでの液体を入れた袋ができてしまうことがあります。
リンパ嚢胞の内部には、しばしばばい菌が入り込み、炎症を伴います。リンパ嚢胞で膀胱が圧迫されたり、感染したリンパ嚢胞の炎症が波及したりすると、尿もれや尿意切迫感の原因になります。
(3)もし抗癌剤治療を受けているのでしたら、使用した薬剤によっては膀胱尿道関係の不具合の出ることがあるといわれています。これについては、担当医師にお訊ねください。
(4)両側の卵巣をとると、エストロゲン(ホルモン)が激減してしばらくの期間、膀胱や尿道の具合が悪くなることがあります。これは年齢や体質によって条件が違い、一律に影響はどの程度といえません。時間の経過により、元通りにはなりませんが落ち着く傾向です。
お役に立つとよいのですが。
産婦人科医・中田真木
今すぐできる尿もれ対策には
このカテゴリーの記事
- 頻尿・股の痛みと薬
- 発熱、倦怠感、尿の色
- 頻尿、残尿感が続く
- 排便時や生理前の残尿感
- 急性膀胱炎の治療法
- くり返す膀胱炎
- 頻尿、痛み、残尿感
- 【医師監修】 子宮摘出手術後に膀胱炎
- 子宮筋腫の手術後の排尿
- 尿路結石後も頻尿
- 子宮内膜症・筋腫ともれ
- 子どもの頃から排尿問題
- 尿管異所開口とは
- レーザー治療後に尿もれ
- 閉経後の尿もれ・おりもの
- 60代、子宮脱の手術
- 子宮下垂とスポーツ
- リング装着から2年
- 子宮脱・膀胱瘤の治療
- ペッサリーの注意事項
- 60代、膀胱瘤
- 腟ヘルニアとセルフケア
- 子宮脱手術後の傷の痛み
- 尿道下垂で通院
- 膀胱下垂手術後の尿もれ
- ペッサリーのトラブル
- 子宮がん手術で尿意喪失
- 子宮摘出後の膀胱・膣
- 卵巣がんの術後に尿もれ
- 産後の膀胱炎と残尿感
- 尿道と腟の間がポッコリ