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  3. 膀胱下垂手術後の尿もれ|尿もれ相談

1年前に膀胱下垂の手術を受けました。退院後から、歩くと尿もれが起こります。

下の方に何か下がった感じがして、泌尿器科に受診したところ、膀胱下垂と言われ、1年前に手術を受けました。腟の方から縫い縮める手術ということで、おなかは切りませんでした。


入院中は何ともなかったのですが、退院してから歩くと尿がもれるのに気づきました。せきやくしゃみでもひどくもれます。びっくりして病院の先生に言ったら、尿道や腟の回りの筋肉を締める運動をしなさいと言われ、一生懸命やりましたが変わりません。ポラキスをずっと飲んでいますが、これも目に見えての効果はありません。


術後に尿もれが始まったのがどうにも納得いかず、今の病院にこのまま通院していても治らないのではないか、これから一生、歩くだけでもれ、1日中尿取りパッドを当てていなければならないのかと思い悩んで、気持ちがふさいでいます。(春野・65歳)

症状と術後1年経過していることからTVT手術を行うのがベストと思います。

膀胱下垂(膀胱瘤)や子宮脱といった、腟から何か下がってくるという病気をまとめて、骨盤臓器脱(性器脱)といいます。


骨盤臓器脱と腹圧性尿失禁はどちらも骨盤底のゆるみから起きてきますので、合併しやすく、一生の内に双方を経験する方も多くおられます。


また、問題として骨盤臓器脱の手術をした後、腹圧性尿失禁がかえって出てきたり、悪化する場合が知られています(10-28%)(*)。膀胱が下がると尿道が屈曲した形になって尿もれがマスクされ、性器脱手術で尿道の屈曲を解除すると隠れていた尿もれが出現すると考えられています。


骨盤臓器脱手術にどの範囲で尿失禁手術を併用するかには論議があり、過剰手術も避けたいのですが、骨盤臓器脱手術の後に尿失禁が起きる可能性があること、その場合は二期的な尿失禁手術で対応できることについて、あらかじめお話があれば良かったのにと思います。


術後半年は骨盤底筋トレーニングで自然回復をみてもよいでしょうが、ご相談の方は歩くだけでもれる状態が長期続いており、TVT手術などを行うのがベストと思います。尿失禁治療に熱意のある病院を探してください。


監修:名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院 女性泌尿器科付部長 加藤久美子先生


(*)加藤久美子,鈴木省治:特集「Female Urology:新たなartとevidence」骨盤臓器脱手術時に尿失禁手術は併用すべきか.Urology View 8: 72-78, 2010.