尿管異所開口の可能性を指摘された4歳女児。腟からの少量のおもらしが続くのですか?
4歳の娘のことで相談します。尿もれが治らず、先日、小児泌尿器科を受診しました。尿もれといってもジャーッともれるのではなく、自分でトイレに行って、次にトイレに行くまでに少量ずつもれている感じです。
エコーの結果、腎臓が片方しかないか低形成で、尿路が膀胱以外の所につながっている「異所性開口の可能性がある」と言われました。これは手術などの治療で改善するものでしょうか?また、他の疾患が隠れていることがよくあるといったようなことはないのでしょうか?
腟から尿もれしている場合、娘のような少量のおもらしが続くものなのでしょうか?(ことり)
膀胱につながるはずの尿管が腟につながって、持続性の少量の尿もれになります。
「尿管異所開口」と聞いても、一般の方々にはなじみがなく、驚かれたかと思います。持続性の尿もれで、エコーで腎臓の片方が低形成の疑いだったというと、この先天異常の可能性がかなりありそうです。
この疾患のポイントは「オムツがはずれた後、普通に排尿できるのに、常に少量尿がもれる」異常に気づくこと。診断がつけば手術で完治できます。
尿管は、腎臓で作られた尿を膀胱まで運ぶ細い管です。この尿管が膀胱でなく、腟や別の場所につながったのが、尿管異所開口です。腟には尿道のような括約筋がありませんから、持続性の尿もれになります。
なぜこのようなことが起きるかというと、お母さんのおなかの中で赤ちゃんの体ができてくる時に、尿管の元になる尿管芽(にょうかんが)が正常と違った位置にできる、腎臓が低形成だと尿管開口部の正常な移動が起こらない、左右1つずつできるはずの尿管芽が複数できて異常を起こすといったことなのです。
それで、尿管異所開口には、低形成腎や重複腎盂尿管が高率にあって、つながった部分の腎臓が作る尿がちょっぴりなので、「少し湿ってるけどおもらしなのかしら」とそのままになったり、医者も気づかず成人後にわかったりということがありがちです。
治療では、低形成の腎臓を摘除したり、尿管を膀胱につなぎ直したりします。開腹手術のほか、腹腔鏡手術でできる場合もあります。きちんと検査を受け、治療されたらと思います。
監修:名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院 女性泌尿器科付部長 加藤久美子先生
今すぐできる尿もれ対策には
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