子宮がんの手術後から、ひどい排尿障害に。改善方法はないでしょうか?
今年の3月に子宮頸がんの手術を受け、広汎全摘をしました。術後排尿障害がひどく、3カ月経った現在でも尿意をほとんど感じません。
自分なりに習慣をつけようと決まった時間にトイレに向かうのですが、残尿感は消えません。少し時間が狂ったり、激しい動作をしたりすると尿もれを起こします。
主治医にも相談したのですが、残尿を計って「たいしたことないですよ」で終わってしまいました。
今月末から再び抗がん剤投与のため入院します。この治療のときは、とにかく尿を出すように言われます。しかし、点滴を腕に刺したままの、しかも体は思うように動かない状態ではトイレにたどり着くのもやっとの状態なのです。
このうえ尿もれがひどいとなると、不安でしかたありません。今後まだまだ治療は続きます。何とか改善方法はないでしょうか。(匿名希望・60歳)
排尿障害のリハビリと考え、具体的な計画を。化学療法中だけ留置カテーテルを入れては。
子宮がんの根治手術では、子宮頚部と周りの組織をまとめて切除します。
それで、付近を通過する膀胱の自律神経や骨盤底筋を動かす神経が傷ついて、排尿障害が出現します。時間がたつと骨盤底筋の動作はかなり回復しますが、溜まった感じが鈍り膀胱の収縮力が損なわれるという自律神経の障害は、恒久的に残ります。
また、抗がん剤の中には、神経毒性により排尿障害を悪化させるものがあります。しかし、この機能低下は一過性なのでいずれ治ります。
最近では、腫瘍専門医の間でも治療による排尿障害を減らそうという意識が高く、神経機能を残す手術や後遺障害の少ない組み合せ治療が追究されています。残尿の多い少ないは腎機能を守るための1つの指標ですが、それだけでは排尿障害の全体を評価できません。
機能の低下した膀胱を使いこなすには、まず、尿意の有無、膀胱の安定性と柔軟性と容量、昼と夜の尿もれの量、排尿の回数、尿路感染症の経歴、腎機能など残された尿路機能のデータを集め、排尿様式や排尿間隔の設定、パッドの使い方などを具体的に計画する必要があります。
これは排尿障害のリハビリですから、本人の「障害を克服したい」という意思が何にも増して不可欠です。化学療法中のトイレ通いが難儀でしたら、その時だけ留置カテーテルを入れてもらうのはいかがでしょうか。
抗がん剤の治療は遠からず終わります。その後はぜひ、「最小の手間で排尿管理し最大限に人生を楽しむ」というポリシーで主体的にリハビリしてください。
産婦人科医・中田真木
今すぐできる尿もれ対策には
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