腹圧性尿失禁
せき、くしゃみ、笑う、走るなどの動作をして、腹圧がかかると、少しずつ尿がもれてしまう尿失禁。風邪やスポーツの時に下着が少しぬれる程度の軽症の方が人数としては多いのですが、歩くだけで多量にもれる重症の方もいます。
膀胱や尿道の働きはほとんど正常で、骨盤底がゆるんだり、膀胱や尿道が下がるために起こります。
最大の原因は、出産によって尿道周囲の靱帯や筋肉がゆるむことや、出産を通して腹圧で尿を絞り出す癖がつくことにあり、「腹圧性尿失禁」の9割以上が出産経験者です。
また、女性ホルモンが低下する閉経前後は、特に腹圧性尿失禁の悪化しやすい時期です。加齢に伴う、骨盤底支持力の低下やエストロゲン欠乏からくる頻尿傾向などが、この時期の特徴です。腹圧性尿失禁は、女性特有の生理現象といえるのです。
軽症の方の多くは、「骨盤底筋トレーニング」により症状が軽くなります。重症の方でも、最近は簡単な手術によって治るようになってきました。
監修:名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院 女性泌尿器科付部長 加藤久美子先生
- ※尿もれを引き起こす原因の特定は本人には難しい場合がありますので、担当医にご相談ください。