腹圧性尿失禁になりやすい人
腹圧性尿失禁は、女性特有の尿トラブルです。前立腺をとる手術を受けた人は別として、腹圧性尿失禁は男性にはまず起こりません。
出産の影響が大きく、加藤らの調査(*1)によると、腹圧性尿失禁で手術を受けた女性の97%が出産経験者でした。
分娩時に骨盤底は少なからずダメージを受けますが、それが時間を経て影響が出てくるためで、特に次のような人は要注意です。
- 3人以上の子どもを産んだ人
- 難産だった人(子宮口が開いてから娩出までに時間のかかった人)
- 大きな赤ちゃんを産んだ人
- 肥満の人
- 背が高い人
- ぜん息やアレルギーでせきやくしゃみの多い人
- いつも立ち仕事や重い物を持ち上げる仕事をしている人
- 腰痛などで、いつもコルセットをしている人
- 便秘で毎日いきむ必要のある人
出産によって骨盤底がダメージを受けやすいほか、肥満や背が高い人は、やせた人や小柄な人より腹圧がかかりやすいため、尿もれを起こしやすいといえます。
監修:名古屋鉄道健康保険組合名鉄病院 女性泌尿器科付部長 加藤久美子先生
- (*1)加藤久美子,奥村敬子,古橋憲一,鈴木弘一,吉田和彦,鈴木省治,村瀬達良:現在の標準治療であるTVT手術を受けた腹圧性尿失禁女性の背景.性差と医療3 (3),351-355, 2006.
- ※尿もれを引き起こす原因の特定は本人には難しい場合がありますので、担当医にご相談ください。