パリジェンヌたちの“あるある”
骨盤底筋先進国フランスの「ペリネ」から学ぼう
QOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)にまで大きく関わってくる“骨盤底筋”。骨盤底筋ケアの先進国と言われるフランスの、“骨盤底筋肉=ペリネ”強化事情についてご紹介します。
保険が100%適用されるフランスのペリネ強化事情
ペリネケアのリハビリ施設も普及
欧米諸国では、「骨盤底筋は女性にとって大事な部分」という考えが社会的にも広く周知されています。その中でもとりわけ意識が高いのがフランス。 骨盤底筋群をふくむ骨盤底全体のことをフランス語でペリネと言いますが、フランスではペリネケアのためのリハビリ施設が一般的に普及しており、産後である・なしを問わず、ペリネケアにかかる費用は100%保険適用されています。 そんなフランスでも、出産直後の母親や40~50代の女性が尿もれになることが多いのは、他の国と変わりません(図1)。 産後にペリネのリハビリを受けた人では、短期的な尿もれ発生率が低いという報告はありますが、長期的な調査はなされておらず、骨盤底筋だけを強化するリハビリ法に長期的な効果があるのかどうか、今後の調査研究が待たれます。
産後のリハビリは常識
「産後のペリネのリハビリは大切」「リハビリせずに体調が戻らないのは当たり前」という考えの人も多く、産後の検診で産婦人科医が「ペリネのリハビリ」の処方箋をだすのが一般的。
この20年間、産前産後の母子教室を中心にペリネについての啓発を行ってきたため、女性たちの間ではペリネの問題が自分の身体のこととして浸透してきており、ペリネのリハビリを専門とする運動療法士や助産師がそうした女性のケアにあたっています。
要注意!日本人女性の骨盤底筋力は弱っている!?
下記の図2は日本の女性の尿もれ対策専用品使用人口の推移です。年々20~30代の若い世代でも尿もれ対策専用品を使用している人が増加傾向にあります。また図3はユニ・チャームが調べた2011年度の尿もれ発症率です。 それによると全体では4割以上(43.8%)が、そして、30代前半までに、実に3人に1人が発症していることがわかります。
本場フランスで実践される『ガスケ・アプローチ』!
『ガスケ・アプローチ』とは?
フランスで注目される、総合的な尿もれ対策を目的としたガスケ・アプローチは、腹圧を正しくコントロールすることや重力の影響を最小限におさえることでペリネを保護しようという考え方です。
尿もれとともに、便秘解消、姿勢の改善も
姿勢や呼吸、日常生活の動き、そして誤った腹筋運動などの動作を正すことで、ペリネを守ると同時に鍛錬し、腹部のインナーマッスルを強化し、尿もれ以外にも様々な効果が期待できます。
期待できる効果
ガスケ・アプローチの基本1 姿勢
背筋を伸ばした正しい姿勢
- 背中をそらせたり、かがめたりせず、バレリーナのようにすらりと伸びた背筋
- はるか遠くを見つめる視線
- 尻尾を巻きこむように骨盤を預け、ゆったりした腹式呼吸に合わせて動くペリネ
- 大腿骨と背骨の角度が90度以内になるよう足台で調節
- 背中をそらせたり、かがめたりするのは禁物
- 頭の先から尻まで、まっすぐに伸ばして座る
ガスケ・アプローチの基本2 腹式呼吸
基本的な呼吸法
- 1. 背筋を伸ばして、姿勢を正す。
- 2. 尿をこらえるようにペリネをきゅっと引き締めて、下腹から空気を上へと絞り出すイメージで息を口から吐く。
- 3. 下腹がぺたんこになるまで息を吐き切ったら、ゆっくりとお腹とペリネの力を緩める。すると自然に空気が鼻から入ってくる。 ※意識してお腹を膨らませる必要はない。
ガスケ・アプローチのエクササイズ例
椅子に座ってポーズ ペリネとインナーマッスルを同時に強化
- 1. 背骨と大腿骨の角度が90度以内になるよう足台を置いて調整する。
- 2. 頭からお尻まで一直線になるよう背筋を伸ばし、机に両肘をつく。
- 3. ペリネを引き締めて、下腹から絞るように息を吐き出しながら、肘で机を押して首筋をさらに引き伸ばす。